296段の石段の先に、大きな自然の力を感じる寺院へ
観音院(秩父札所31番)
歴史・文化
- ジオスポット
- バス停より徒歩20分以内
- 心が整う
- 登山・ハイキング
- 神社仏閣・札所巡り
- 終点の風景
2025.10.31
岩壁に刻まれた祈りと、随一の景観を誇る札所
秩父札所31番の曹洞宗「鷲窟山 観音院」。秩父札所の中では最西端に位置し、秩父霊場で随一の景観を備えていると言われています。武将・畠山重忠が同地で狩りをした折、矢を放った鷲の巣から観音像を見つけたことで、奇縁を感じ安置したことが始まりとも伝承されます。境内の岩壁には「南無阿弥陀仏」の名号が彫られ、すぐ下には、弘法大師が一夜で刻んだとも伝えられる「鷲窟磨崖仏」があり、埼玉県の指定文化財にもなっています。古来より修験道の霊場としてにぎわった歴史もあり、現在も荘厳な空気を漂わせる神聖なお寺として人々を惹きつけています。
2000万年前の礫岩層を背にした本堂、隣には落差30mの“清浄の滝”
高さ4mある日本最大の仁王像が立ちはだかる仁王門をくぐると、296段の石段が現れます。少し体力は必要ですが、ところどころにある句碑を詠みながら石段を登り切ると、鐘楼堂があり、訪れた際には天女が刻まれた梵鐘を打つこともできます。観音堂のまわりは、新生代第三期の地層の砂岩からできた岩窟で囲まれており、本堂には岩窟を背にした観音堂(本堂)には奈良時代の仏教僧・行基が作ったと伝わる本尊“聖観世音菩薩”が安置されており、まずはこちらにお参りを。観音堂の横には高さ30mもの“聖浄の滝”があり、水の音と神聖な空気に穏やかな気持ちになります。
必ず見たい、埼玉県指定文化財“鷲窟磨崖仏”
「観音院」に訪れたら絶対に見ておきたいのが“鷲窟磨崖仏”。礫質砂岩の岩肌を利用し、上方には“南無阿弥陀仏”と大きく彫られ、高さ約18cmの坐像と立像の仏像が幾重にも浮き彫りにされています。見えている他に、地中にも数段の磨崖仏があるともされ、その総数は山全体で“十万八千仏”と言われています。また、観音堂から東奥の院へと続く道の途中には、岩窟の石仏群に加え、畠山重忠の家臣・本田親常が矢を射通したと伝わる岩孔もあり、20分ほどの往復の間に多くの仏さまと歴史の痕跡に出会うことができます。

