四阿屋山のふもと、千年の時を刻む目薬師様
四阿山法養寺 薬師堂
歴史・文化
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2025.10.31
風雪に耐え、千年を超えておがのまちを見守り続ける
家門隆盛の願いと豊かで和やかな暮らしを守る、秩父十三仏霊場のひとつ「四阿屋山 法養寺薬師堂」。山号にある四阿屋山(あずまやさん)のふもとに建つ、薬師如来を祀るお寺です。とくに“眼病に霊験あらたか”といわれ、目の薬師様として地域の人々に親しまれています。そんな「法養寺薬師堂」が、勧請されたのは平安時代(大同年間)といわれています。信仰の対象として敬われていましたが、戦国時代に甲斐の虎・武田信玄の秩父侵攻によって焼失したとされています。しかし、同時代に寄居町にある鉢形城主・北条氏邦によって再建され、向拝の付いた寄棟造の本堂は室町時代の建築様式を今も伝える貴重な歴史的資料として、埼玉県指定文化財になっています。
古刹「法養寺薬師堂」に残る仏教美術に触れる
県道37号線沿いに建つ「法養寺薬師堂」で、まず目に飛び込むのは日本三体薬師尊の文字を刻んだ石柱と薬師堂仁王門。本堂には神奈川県伊勢原市の日向薬師、愛知県新城市の鳳来寺薬師と並ぶ薬師如来が厨子内に安置されています。本堂に先駆けて建つ山門は江戸時代中期の建造とされます。朱塗りの阿形、吽形の木造金剛力士立像が薬師堂の入り口を守ります。本堂内では厨子を中央に、木造日光菩薩・月光菩薩立像と木造十二神将立像が薬師如来を守護。いずれも16世紀頃の作とされる木造彫刻は、県指定有形文化財になっています。
健やかな暮らしを願い、薬師如来様に合掌
向拝下にはたくさんの千羽鶴が掛けられており、参拝する方々の想いが伝わってきます。千羽鶴と同じように格子戸に結ばれた絵馬も印象的で、よく見ると絵馬には“め”の文字が。この“め”と逆さ文字にした“め”が描かれた絵馬を“めめ絵馬”と呼ぶそう。眼病平癒を願って薬師如来様に奉納される絵馬だといいます。薬師如来様の十二誓願のひとつ“光明普照”が目に通じることから眼病平癒の祈願に良いとされているとのこと。もちろん、目だけでなく健康・長寿を授ける仏様ですので、“道の駅 両神温泉薬師の湯”で絵馬を購入して願いを書き、健やかな暮らしを祈ってみてはいかがでしょう。

